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中学英語でつまづかない効果的な学習を考える~学習指導要領を参照しながら~

こんにちは。
飯田橋ゼミナールです。

 

ご存じの方も多いかと思いますが、2020年度からの新しい学習指導要領により、これまでと比べ、生徒にとっては学ぶ必要のある事柄が大幅に増えました。
そこで今回は、英語にフォーカスし、文部科学省の『学習指導要領(平成29年告示)解説』を参照しながら、具体的になにがどう変わり、生徒はどのような準備をしておく必要があるのか、という点を考えていきたいと思います。

 

少し長くなりますので先に概要を置いておくと、この記事は以下の流れで進行し、それぞれに対して指導要領より根拠が示されます。

①中学の英語(≒試験)が難しくなった
②しかし小学校では、中学英語(≒試験)に備えたことをやるわけではない
③よって、中学生までの準備として発音と綴りの関連を自学しておくとよい

 

それでは早速見ていきましょう。

 

中学英語が難しくなった

さて、中学英語ですが、2020年度からの「学習指導要領(平成29年告示)」により、以下の部分が顕著に重くなりました。

 

取り扱う語数について,小学校で学習する 600~700 語に加え,現行の「1200語程度」の語から五つの領域別の目標を達成するための言語活動に 必要な「1600~1800 語程度」の語に改訂した。(【外国語編】中学校学習指導要領(平成29年告示)解説, p.9)

 

数字としては分かります。では実際にはどんな感じでしょうか?
具体的に、当塾生徒が多く通ういくつかの私立校で教科書として採用されているZ会『NEW TREASURE stage1』で、以前まで使われていたsecond editionと比較してみます。現在の中1が使用しているthird editionは、"A"から始まる単語だけで、旧版と比べて、

according, action, add, afraid, Africa, airport, alligator, already, among, amount, anime, anyway, aquarium, article, attend, attention

が新たに巻末の単語リスト加わりました(代わりに”Arabic” といくつかの人名が減少)。

 

また、Lesson1から郷土料理を紹介する会話文が追加され、細かなところだと、Lesson3のアメリカで働くすし職人にインタビューするという題材の文章中でも、”We like sushi very much.”だった部分が”I work as a chef at this sushi restaurant.”に変更されていたり、”It’s “California roll”. Am I right?” と確認する箇所が、”They are “California rolls”, right?” と変更されていたりと、難易度のアップとともに、より実践的な英文を載せようという意図が垣間見られるようになりました(加えてこの文章は旧版ではLesson4にありました)。

 

端的にいうと、中1時点で求められるインプット/アウトプットの質が上がったということです。

 

それはつまり、中学での「英語」の授業や試験の難易度がこれまでよりも上がったということですが、そもそもの元を辿るならば、中学生が小学生と地続きの存在である以上、小学校の英語教育が見直されたことに関連があるように思われます。
そこでここからは、小学校の英語教育が2020年以前とどのように変わり、中学まで波及しているかについて見ていきたいと思います。

 

小学校の英語はどんなことをやっているの?

まず初めに、文部科学省の出している『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説』を参照すると、2020年度以降の小学校英語は以下を目標として定められています。

 

外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,読むこと,話すこと,書くことの言語活動を通して,コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。(【外国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説, p.8)

 

この目標は、前回(平成23年)の指導要領の改訂後の反省点として、以下の3点に留意されたものとなっています。

 

小学校では,平成23年度から高学年において外国語活動が導入され,その充実により,児童の高い学習意欲,中学生の外国語教育に対する積極性の向上といった成果が認められている。一方で,①音声中心で学んだことが,中学校の段階で音声から文字への学習に円滑に接続されていない,② 日本語と英語の音声の違いや英語の発音と綴りの関係,文構造の学習において課題がある,③高学年は,児童の抽象的な思考力が高まる段階であり,より体系的な学習が求められることなどが課題として指摘されている。(同上,p.7)

 

確かに、「①音声から文字への学習に円滑に接続されていない」=「単語に聞き覚えはあるけど読めない/書けない」=「中学以降のテストで点数が取れない」という事例は、2020年に要領が改訂される以前からしばしば観察されたように思われます。

それまでの外国語活動(英語)が小学校になかった時代と比べると、この2011年の改訂以降の生徒は如実に発音がいいようには感じられるので、導入という観点ではある程度の「成果が認められ」ていると同意できますが、読めない/書けない の部分においては、中学との「接続」という面の円滑さはなかったかもしれません。
そこで今回の指導要領では、次のように対策が示されました。

 

「推測しながら読む」ことにつながるよう,音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現について,音声と文字とを関連付けて指導することとした。(同上,p.66)

 

なるほど、「音声と文字の関連付け」が指導されるのは、読み書き問題の対策として妥当であるように思われます。しかしながら、「音声と文字」における「文字」が定義される箇所をよくよく参照すると、我々が上の文章を読んで直感した妥当性とは異なるものが「文字」と表されていることが分かります。以下の部分です。

 

この目標では,文字の読み方の発音を聞いて,それが表す文字が分かるようにすることを示している。ここでいう「文字」とは,英語の活字体の大文字と小文字のことであり,「読み方」とは,文字の名称を指している。活字体の文字の名称の読み方が発音されるのを聞いて,活字体で書かれたその文字と結び付けるなどにより,どの活字体を表しているかを理解するものである。英語の文字には,名称以外に,語の中で用いられる場合の文字が示す音がある。例えば,a や c という文字は,/ei/ や /siː/ という名称があると同時に,語 の中では /æ/(例:bag,apple)や /ei/(例:station,brave),/s/(例:circle, city)や /k/(例:cap,music)という音をもっている。この目標における「読み方」とは,音ではなく,文字の名称の読み方を指していることに留意する必要がある。(同上,p.20)

 

ややこしくて分かりにくいですが、かみ砕くと、「key」という単語を見たときに「” kíː”だ」と読めることを目指すのではなく、「key」が”「k/kéi/」と「e/íː/」と「y/wái/」の三つのアルファベットで構成されていることが分かるようになろう、という指導が求められているのです。

 

また、具体的にこのようにも示されています。

 

「推測しながら読む」とは,中学年から単語の綴りが添えられた絵カードを見ながら何度も聞いたり話したりしてその音声に十分に慣れ親しんだ単語が文字のみで提示された場合,その単語の読み方を推測して読むことを表している。また,場面などを活用して読むことも考えられる。例えば,動物園の絵のそばに添えられた zoo という単語があれば,音声で十分慣れ親しんだ語を思い出して,zoo が読めることも考えられる。あるいは,book の b の発音を思い出して,bed を推測しながら発音することも考えられる。(同上,p.72)

 

こちらもかみ砕くと、「”zoo”→『動物園』だ!」となるのではなく、「これは動物園の絵だ。「動物園」の話をするとき、先生は/zúː/ってよくいってたはずだ。ならばこの”zoo”という /zíː/ /óu/ /óu/ は、動物園を意味していて、/zúː/と読むのではないか?」という「推測」をして、単語zooをzúːと発音できるようになったらいいね、ということです。中々に迂遠です。
この方針は中学年の外国語活動の範疇のみならず、高学年の外国語(英語)になっても同様に変わりません。

 

「読み方」とは,音ではなく,文字の名称の読み方を指していることに留意する必要がある。これは,中学年の外国語活動において,文字の読み方が発音されるのを聞いて,どの文字であるかが分かるようにすることが目標とされていることを踏まえてのものである。(同上,p.78)

 

また、書くことに関しても、

大文字,小文字を活字体で書くことができるようにする。また,語順を意識しながら音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を書き写すことができるようにする。(同上,p.81)

 

音声で慣れ親しんでいる表現や文について,文字を示しながら音の変化についての指導をすることは中学校段階で行うものとする。(同上,p.85)

 

中学校の外国語科において,発音と綴りを関連付けて指導することとしている。(同上,p.88)

 

とあるように、綴りに関しては音と結びついて書けるようになるのではなく、「書き写す」ことが目標とされ、それ以降は中学校段階での指導とされています。

 

さて、ここで冒頭に返るのですが、小学校の「外国語」の授業では、改訂前の反省こそあったものの、「綴りを見て発音する」「単語の発音を聞いて、綴りにする」という音と綴りを関連させる練習を行っていません。それにも関わらず、2020年度からの改訂により、中学では覚える単語(≒綴り、発音)が増加しました。これだと、ほとんどそっくりそのまま中学生時点での負担が増えたようなものです。
この部分が、中学の定期試験の平均点が下がる、などの結果として今現在も表れているように思われます。

 

中学のためにはどんな勉強をすればいいの?

それでは、指導要領の理念は別として、中学に上がったあとに「中学校の試験で点を取る」準備を我々がしておくためには、どういった学習を心がければよいのでしょうか。
実は面白いことに、そちらも小学校の指導要領にヒントが書かれています。

 

なお,発音と綴りを関連付けて指導することは,多くの語や文を目にしたとき,苦手意識をもったり学習意欲を低下させたりすることなく,主体的に読もうとするようになる上で大切なことの一つであるが,中学校の外国語科で指導することとされている。(同上,p.105)

 

「中学校段階での指導」としつつも、発音と綴りを関連付ける学習が「大切なこと」であると明記されています。併せて、繰り返しになりますが「中学段階で指導」されるとあります。つまりこの部分こそが、「中学英語」の準備として効果的であるということです。
これはあくまで想像ですが、要領にこの記述があるということは、会議でも「なぜ小学生に発音と綴りを関連付ける指導を導入しないのか?」という議論もあったのではないでしょうか。ただ、あらゆる観点の事情を総合した結果、小学校の内容からは落とさざるを得なかったのかもしれません。
しかし、だからといって生徒が小学校の授業以外で「発音と綴りを関連付けて」学習することにはまったく問題ないわけです。むしろ指導要領にすら「大切なこと」と表現されているわけですから、中学に備えて、どんどん自学すべきであるように思われます。

 

当塾も、そのような考えから今年、『音(フォニックス)からつづりが分かる!英単語練習帳』を作成いたしました。タイトルからお分かりのように、「音」と「綴り」を関連させながら単語学習をするための教材です。

 

こちらより該当記事をごらんいただけます。

 

こちらは当塾に籍のある方のみご購入いただけるものとなるため、関東圏外の方のお手元に届けることはなかなか難しいですが(遠方の方のオンラインでの入会・受講も承っております)、こちらの本に限らずとも、早い段階から「音と綴り」に着目して学習をしておくことは、非常に有益であると思われますので、是非とも参考にしていただければと思います。

 

さて、話をまとめると以下のようになります。

①中学の英語(≒試験)が難しくなった
②しかし小学校では、中学英語(≒試験)に備えたことをやるわけではない
③よって、中学生までの準備として発音と綴りの関連を自学しておくとよい

というわけで、冒頭に示した結論まで戻ってきました。

 

③の結論部分は、比較的一般にもいわれていることではありますが、今回は指導要領を丁寧に参照することで、小学校の先生が授業でそれをやらない理由や、中学英語を前に「音と綴り」をやっておく妥当性や優位性を示せたかと思います。
是非とも、中学の準備をしておきたい小学生や、進学後に英語で伸び悩んでいる中学生のみなさんには、一つの切り口として「音と綴りの関連」の存在を意識してみていただければと思います。

 

あとがき

以下は私見ですが、小学校指導要領の方針も、「中学/高校の試験」との評価軸がかみ合っていないだけで、方法論の一種としてはありではないかと考えます(もっとも、今現在かみ合っていないということが進級・進学を求める生徒にとっては死活問題なのですが)。
『【外国語活動・外国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説』には、「留意」という単語が208回出現しています(国語や算数の指導要領解説内には各49回、平成23年告知の外国語では5回しかこの単語は出現していません)。その性格上の批判のしやすさも相まって、なにかと腐されがちな指導要領ですが、作成サイドの苦労や葛藤も偲ばれるところではあります。

 

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