夏休みの自由研究(数学と物理学と音楽の深い関係)

SCOREUP BLOG

こんにちは。
夏休みも終わり、学校が始まりましたね。今年の夏休みは、みなさんにとってどんなものだったでしょうか。

教室では、講師が生徒と一緒に夏の自由研究を行いました。
テーマは「数学と物理学と音楽の深い関係」です。

 

講師と生徒が工作しています

数学と物理学と音楽の深い関係

みなさんはグランドピアノやアップライトピアノの中を覗いてみたことはあるでしょうか。
グランドピアノは大きな蓋を開けると、中に弦がたくさん張ってあって鍵盤が上下するのも見ることができますね。アップライトピアノは後ろから覗いてみると、なにやら大きな木の板が見えます。これらの内側はどのようになっていて、どのような仕組みで音が鳴るのでしょうか。

ピアノの発音原理を理解するために工作した簡単なモデルの写真

ピアノの発音原理を理解するために、授業で簡単なモデルを工作しました。

 

ピアノは打弦楽器とも言われるように、ピンと張った弦をハンマーで打ち鳴らすことで音が鳴る楽器です。奏者が鍵盤を押し下げるとハンマーが持ち上がり弦にぶつかり振動させます。弦の振動は駒を介して響板に伝えられます。響板は弦の振動を増幅して空気を振動させます。このようにしてピアノは発音しているのです。アップライトピアノの後ろから覗いている板は響板ですね。

実物のピアノはハンマーの機構や響板の構造などより複雑で精密に作られていますが、大まかな構成と発音原理はこのモデルが示す通りです。

 

細かく見てみましょう。
このモデルでは弦の調律ネジにギター用のペグを用いました。これを締めると音が高くなり、緩めると低くなります。
弦にはピアノ線を使いました。ピアノ線はその名の通りピアノの弦にも使われる炭素鋼の線で、一般的な針金より弾性力が強いので楽器の弦に適しています。

 

ハンマーの先にはフェルトが貼られています。
木が直接弦に当たるとカチンカチンという硬い音になりますが、フェルトのお陰でより柔らかい音色になります。

 

響板は少し上に反っています。
水平な板だと駒や弦の圧力に負けて下にたわんでしまいますが、上に反らせることで耐えられるようになります。

駒の位置は3つの弦で少しずつズレており、高い音が出る右側の弦ほど手前の位置になっています。
これは弦の長さが短いほど高い音になるためです。実際、グランドピアノの形状は低い音が出る左側ほど奥に伸びた形状になっていますね。

 

さて、工作が完成したところで生徒さんが3音の響き方が音の高さによって違うことに気が付きました。
2音以上の音を同時に鳴らしたものを"和音"といいますが、和音にはよく響き合ってキレイに聴こえる和音と少し響きが濁って不安定に聴こえる和音があります。こうした響きの違いの裏には音楽と数学、そして物理学の深い関係があるのです。

 

古代ギリシャの数学者ピタゴラス(三平方の定理で有名ですね)は鍛冶屋の鎚を打つ音を聞いて、よく響き合う音の組み合わせとそうでない組み合わせがあることに気づき、金属線(弦)とおもり、駒を用意して簡単な弦楽器を作り、音の高さと響きの実験をしました。その結果、弦の長さが簡単な整数比になる場合はきれいな響きに、そうでない場合は濁った響きになることを発見しました。

 

これには物理学的な理由があります。音のような周期的なパターンが伝播する現象、つまり"波"が複数重なり合うとお互いの波が強め合ったり打ち消し合ったりして、より複雑な波形が発生します。これを"波の干渉"といい、このおかげで和音の響きが単音よりも豊かで複雑なものとなるわけです。
しかしながら振動数が比較的近い2つの波が重なり合うと「うぉーんうぉーん」という低い音が聴こえてきます。これが不協和音の不快に感じる響きの原因となる"うなり"という現象です。うなりの音の振動数は元の2音の振動数の差に等しく、必然的に低周波数の低い音になります。低周波数の音を不快に感じる原因はまだ解明されていませんが、原始時代に人間の天敵であった大型肉食獣の唸り声に近い音だからという指摘があるようです。

 

ピタゴラスの発見した音の高さと響きの関係を音階に落とし込んだのが純正律です。純正律では音階の音の振動数が2,3,5倍を組み合わせたものになっています。
例えば、ドの音(264Hz)を基準に考えてみましょう。振動数を2倍の528Hzにすると1オクターブ上のドになります。3倍の792Hzにすると何の音になるでしょうか。高いソの音になります。高すぎるので半分(396Hz)にして1オクターブ下げておきましょう。今度はドの音の5倍、1320Hzにしてみるとどうでしょうか。これは2オクターブ上のミになります。やはり高すぎるので半分の半分(330Hz)としておきます。……このような操作を繰り返していくことでドレミファソラシドを作っていきます。

教室では実際にバイオリンを用いて平均律音階を作って確かめてみました。

 

数学と物理学と音楽の興味深い関係を実感できたでしょうか。

 

身近にあるものでも、仕組みや理屈を知らないものって結構たくさんあります。
そういった部分に目を向けるのは楽しいですし、自由研究などのテーマにしてみるのもいいかもしれません。

 

当塾は、完全1対1の個別指導ですので、学校の予復習や試験対策に限らず、自由研究のサポートなども授業で行うことが可能です。
ぜひ一度、お問い合わせください。

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